屍鬼 ネタバレ全開、
小野不由美先生の原作&藤崎竜先生の漫画ジャンプSQ進行を読了前提の
二次創作ファンサイトです。
原作に捏造を加えた二次絵+文。
辰巳に千鶴が襲撃されたなりゆき。1945年3月東京郊外が舞台です。
***
辰巳「今日もお庭にいらしたんだ。美味しい"井戸水"をまたいただけますか?」
千鶴「いらっしゃい軍人さん。」
辰巳「ではお言葉に甘えて。」

千鶴「・・あ・・・。
・・・大きい花火。たーまやー。ふふ・・。」
(サイレン)
辰巳「空襲だ。貴女も防空壕に避難したほうがいい。」
千鶴「防空頭巾をかぶって、もんぺを履いて、泥だらけの穴倉へ?イヤよ、絶対イヤ。
ねえ見て軍人さん。また飛行機が爆発した。たーまやー。」

辰巳「散らされてるのは味方の、離陸したての迎撃機ですよ?
上空から敵機に狙い撃ちされてるんだ。」
千鶴「なんでもいいわ。ホラまた命中。綺麗な閃光だわ。夫もきっとあんなふうに。」
辰巳「・・・貴女はいつもこうしてお庭ですごしてるんですか?」
千鶴「髪を巻いたり、爪を磨いたり、結構いそがしいのよ。」
辰巳「綺麗ですね。」
千鶴「でしょうこの爪。もう手が荒れることなんてしないの。
小芋をむいたりして、夫のために手料理をふるまう機会なんて数えるほどしか無かった・・・」
辰巳「貴女自身、食事してないのでは?配給の氷砂糖を持ってます。差し上げます。」
千鶴「そんなの、口に合わない。
赤い紅が欲しい。口紅がなくなってしまって、手に入らないの。」
辰巳「・・・首の傷痕にまだ残る赤を、塗ってあげましょうか。
こんど深く眠って起きたなら、独りぽっちではない居場所へお連れしましょうか。」
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大戦期、辰巳はどこにでも出入りしやすいように軍服を着込んでいた、と想定しました。
終戦ごろに辰巳が襲って仲間に加えたらしい千鶴。
微エロスなような違うような、ちょっといい雰囲気だったら素敵だなと思います。